「自分と向き合うこと」ができない人たち(2)

2つ目の例は、「責任転嫁をする人たち」です。何か間違いをしてしまった場合に、瞬間的に、「他の人や物や周囲の状況」のせいにしてしまう人たちが存在します。一般的な責任転嫁は、周囲で目撃した人たちが、「おやおや、この人責任転嫁していますね」と、すぐに分かる類のものです。

しかし、同じ責任転嫁であっても、傍からは簡単に見抜けない形を取って実行する人たちが存在します。「自分の問題を相手の問題にすり替えて、相手を攻撃する」というやり方を取る人たちです。彼らの中には、周囲の人たちが「責任転嫁」と気づかない「巧妙なやり方で実行する人」が存在するので、私個人としては、「その場合は、一般的な責任転嫁とは区別して考えた方がいい」と判断しています。

この行為のターゲットにされる形で巻き込まれた人たちは、「身に覚えのないことで責められる」のですから、「やり場のない怒り」が湧くだけでなく、深く傷つくのですが、「この人は、自分の側の問題をこちら側の問題にすり替えている」と気づくことは、かなり難しいので、せいぜい『どんな思考回路を持っていれば、こんなめちゃくちゃなことができるの?』と、訳の分からない異常性を相手に感じ、その不快感から、攻撃し返してしまう場合が多いと思います。その場合、泥沼のようなやり取りになって、深い疲労を残すだけです。どれ程筋道立てて「あなたのやっていることはおかしい」と言ってみても、実行している人は、その行為を無意識で行っているので、気づかせることは困難なのです。

本人には自覚がないのですが、彼らの中では以下のことが起こっています。「自分が悪い」「自分のせいだ」「自分に直さなければならないことがある」と考えること、すなわち「自分を見つめなければならない状況」に耐えられない→なんとしても「自分は正しい」ことにしたい→そのためになら何でもする→「自分の問題をターゲットに選び取った相手の問題とすり替え、攻撃する」つまり、「自分が正しいことにするために、相手を悪者にする」のです。「相手を悪者にしない限り自分を正当化できない」ので、このターゲットに選ばれた人に対する攻撃は、かなりすさまじいものになります。

ターゲットに選ばれてしまった場合に有効な手段は、「これは自分の問題ではなく、相手の問題だ」と気づいて、決して反撃することなく、「相手の言っていることに対して、取り合わない姿勢を取る」ことです。